生命保険契約照会制度が創設
こんにちは。 田中です。
富裕層とは言えなくても、都市部に不動産を持っていれば 相続税がかかる可能性があります。
なかなか奥が深く複雑なのが相続税です。相続税の仕組みや控除について、相続税申告のやり方や注意点等、少しでもお役に立てる情報を発信していきます。
生命保険契約照会制度が創設され、令和3年7月1日から開始されたことにより、生命保険契約を簡単に把握することが できるようになりました。まだまだ知名度の低いこの制度ですが、生命保険契約が把握しきれず困っているという問題を解決することができます。
生命保険金は、被保険者が死亡してから3年を経過すると 時効により請求権が消滅します。保険会社は時効を迎えると、保険金を支払わなくてもよいことになるのです。これまでは、身近なものを手掛かりに、手当たり次第、生命保険契約を捜索していくしかありませんでした。
この制度を簡単に説明すると、一定の者が生命保険協会に照会をかけると、照会の対象となっている人 (亡くなった人や認知症になってしまった人) の生命保険契約を一括して生命保険各社へ調査依頼をして、42社ある生命保険会社に「生命保険が有るか無いか」 の調査結果をとりまとめて回答をしてくれるのです。 いわば、生命保険契約の名寄せです。
また、この制度は、相続が発生したときのみ使えるわけではなく、対象者の認知判断能力が低下した場合も 利用可能です。ただし、認知判断能力が低下した場合であればいつでも使えるか?というと、そういうわけではありません。
対象者の入院や手術等にかかる支払い、所定の身体状態に伴う出費等、緊急の資金が必要性がある場合に限られます。せっかく医療保険等に入っているのに認知症になってしまって医療保険などの存在が分からず使えなくて入院ができないとか、手術ができないとなったら大変ですよね。
認知症になってしまったらむやみやたらに 使えるということはなく、生命保険契約照会制度を取り扱う 生命保険協会の判断があります。 所定の書式にそって医師が診断をします。
この制度で調査ができるのは、現在有効に継続している個人保険契約です。死亡保険、払済、解約済、失効は含まれません。照会事由が死亡等の場合は死亡日から最低3年間は遡って調査します。 財形保険や財形年金保険、既に支払いが開始している年金保険、保険金等が据置きとなっている保険の調査は対象外となります。一般的な死亡や認知症により照会をする場合には、照会1件あたり3,000円です。
この制度は、保険契約の有無を確認するための制度であり、内容の照会や受取の手続きまで行うことは できません。
それでも、ただやみくもに保険会社へ問い合わせする よりはかなり効率的ですよね。