所得控除の仕組みを知っているかであなたの税金変わるかも!?
こんにちは、田中です。
所得控除の仕組みを知っているかであなたの税金が変わってくる可能性があります。
所得控除とは、納税者の生活状況に合わせて、所得額から一定の金額を差し引く制度です。
所得税や住民税は、1年間の所得に決まった税率をかけて算出します。その際、所得控除を適用すると自身の所得金額が少なくなり、結果的に納税額を少なくすることができます。
所得控除は15種類あり、納税者自身の生活状況によってそれぞれ適用されます。医療費が一定額を超えた場合に使われる医療費控除や、子供や親を養っている人に使われる扶養控除は所得控除の一種です。
実際に納める所得税額の計算方法
課税所得=収入ー経費ー所得控除 で計算します。
税金= 課税所得 X 税率 税率は
所得税が5%~45% 住民税が一律10% 所得税は課税所得が高くなっていくと、税率も高くなります。
節税の原則は、課税所得を減らすことです。課税所得を減らすには、収入を減らす、経費を増やす、所得控除を増やす の3つしかありません。ただし、税金を減らすために収入を減らしたい、と考える人はまずいませんよね。経費を増やすとは、個人事業主の方であれば、売上を得るために支出した、例えば、仕入れや広告宣伝費、通信費、外注費が経費に該当し、収入から経費を引くことができます。一方、会社員の方は、給与所得控除が経費の扱いになります。
給与所得控除と所得控除は、名称こそ似ていますが内容はまったく異なります。
給与所得控除とは、所得税計算の基盤となる給与所得額を確定させるために、1年間の給与などの収入額に応じて差し引かれる控除です。給与所得者には、個人事業主のように収入から経費を差し引く制度がないため、給与収入に応じて「経費分」として差し引かれるのが、給与所得控除です。個人事業主の方は、頑張ったらいっぱい経費計上できるかも!?しれませんが、会社員の方の給与所得控除は年収によって定められているので、いくらスーツをたくさん買っても給与所得控除が増えるということはありません。
給与所得控除はどのように算出するのでしょうか。給与所得控除は年収により計算式が異なり、年収が低いほど、給与所得控除額の割合が高くなります。また、実際に支出していなくても年収に応じた一律の金額で控除されるという点においても事業所得者の経費とは異なってくるのが特徴です。 基本的に、給与収入額によって控除額が変わってきます。給与所得控除は、会社が支払った給与や賞与の額をもとに計算して、源泉徴収票に反映する仕組みで、源泉徴収票には給与所得控除後の金額が反映されます。
となると、会社員の方は、所得控除を増やす しか方法がありません。というわけで、サラリーマン王道の節税法は、ずばり所得控除を増やす になります。
とはいうものの、所得控除とは何でしょうか。
所得控除の目的は、「公平」という観点から生まれています。税制度の基本原則は「公平・中立・簡素」とされていますが、所得控除はこのうちの「公平」を形にしたものといえます。人が生活していくためには衣食住にかけるお金が必要です。また、ケガや病気になったときにかかる医療費や、将来の備えとして保険料も必要なお金と言えます。そうした出費にまで課税することは適切ではない、という考えが税制度にはあります。さらに、人はそれぞれ経済力に差があり、家族構成や生活状況が異なります。多額の税金を納めていても生活に余裕のある人もいれば、そうでない人もいるでしょう。そうした経済力の違いを無視して、一律同額の税金を課するのは、公平とはいえません。税制度は、納税者の生活状況に合わせ、いくつもの所得控除を設け、人々の生活の負担にならないように配慮しながら、税負担の公平さを保っています。
所得控除は全部で15種類あり、納税者の個々の状況に応じて調整していくものです。利用できる控除を見落とすことがないように、控除の種類を知っておきましょう。
なお、所得控除は、会社員の年末調整で申告できるものと、所得税の確定申告でないと申告できないものの2種類があります。年末調整を受けていて、年末調整で申告できない控除を適用したい場合は、所得税の確定申告をしなくてはなりません。年末調整で申告できる控除は、すべて、所得税の確定申告で申告することができます。
配偶者がいたり、自らが障害者だったり、ひとり親だったりする場合は大変だろうから税金をちょっと安くしてあげよう、といったかたちで、所得控除と言っても全部で15種類あります。
基礎控除
所得税の基礎控除は48万円、住民税の控除額は43万円 (ただし、高所得者除く)誰でも利用可能です。
基礎控除額48万円+給与所得控除の最低額55万円= 103万円
皆さんも、103万円と聞けば、聞いたことはあるでしょう。 つまり合計額が103万円以下であれば税金はかかりません。仮に収入が103万円以下であれば、基礎控除額48万円+給与所得控除の最低額55万円を差し引けば課税所得が0となるため、税金がかかりません。何%の税率をかけようとも税金はゼロになるからです。 もう一つは扶養の壁です。皆さんのなかでも学生時代にご両親からお父さんの税金が高くなるから絶対に超えないように、と言われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
社会保険料控除
社会保険料とは、主に国民年金保険料、厚生年金保険料と健康保険料のことであり、これらの税金をたくさん払ったら税金をまけましょう、という内容です。家族の分を含め、支払った本人は全額控除することができます。 例えば20歳になった学生が国民年金保険料の支払い義務が発生した場合、 学生納付特例を申請すれば10年間の猶予もありますが、例えばお父さんが代わりに支払った場合は、お父さんが全額控除を受けることができます。支払いすぎた所得税はその年の年末調整をするか、もしくは確定申告をすることで還付されますが、 住民税は翌年6月以降の住民税の金額に反映されます。
寄付金控除
ざっくりいえば 寄付金額ー2000円のことです。一般の方は、ふるさと納税でしか使わないと思います。ふるさと納税をすると、2000円を引いた税金が還付される仕組みです。ワンストップ特例を利用するか確定申告を行うか、のどちらかになります。どちらで行っても節税できるトータルは変わりませんが、ワンストップ特例は、翌年の住民税の減額に充てられ、確定申告をする場合は、まず所得税として還付され、残りがあれば翌年の住民税減額に充てられます。
医療費控除
高い医療費を支払ったら、可哀そうなので税金をまけてあげましょう、という内容です。1~12月に支払った自己負担の医療費 – 10万円の差額があれば確定申告をします。もし、民間の保険会社から保険金ももらったら、保険金で補填される金額は引く必要があります。ここの医療費とは、保険適用外である、例えば、入院中の食事代、差額ベッド代、インプラントも該当します。また、家族の医療費を払った場合も全額医療費控除として適用されます。医療費が10万超になりそうな年は、家族の中で一番収入が多い人がまとめて医療費控除を確定申告すると、効率よく節税できると言えます。ただし、医療費控除は確定申告をしなければならない項目なので注意が必要です。
小規模企業共済等掛金控除
小規模企業共済や確定拠出年金の掛金が全額控除になります。小規模企業共済は、小規模企業経営者や個人事業主が退職金として積み立てできる制度です。ただし、近年は予定利率が1%になっているので、あまり人気はないようです。確定拠出年金には、企業型確定拠出年金と個人型確定拠出年金(iDeCo)の2種類があります。企業型確定拠出年金は企業が導入していないと加入することができません。個人型確定拠出年金(iDeCo)は自ら開設することができます。いずれも投資ができる箱のことを指しますが、箱の中で投資ができる商品は様々あり、運用は各個人にゆだねられています。企業型確定拠出年金は、企業が拠出してくれるお金は所得控除適用外ですが、マッチング拠出制度を利用しており、自ら掛金を拠出できる場合、実際に拠出した掛金は全額所得控除の対象になります。
配偶者控除・配偶者特別控除
配偶者(奥さん)の年収が給与収入のみの場合、年収が150万円以下であれば、扶養している側(ご主人)の所得税の控除額38万円、住民税の控除額33万円になります。なお、年収150万円を境に、年収が多くなるにつれて、控除額が段階的に減っていきます。配偶者(奥さん)の年収が201万円になると扶養している側(ご主人)の控除額がゼロになります。ただし、ご主人の合計所得金額が1,000万円超の場合、配偶者控除の適用はありません。
扶養控除
扶養している家族の年収103万円以下の場合に使える控除になります。控除額は扶養される側の年齢によって異なります。
0歳以上16歳未満は、2011年にこども手当新設のタイミングで廃止
一般扶養親族(16~19歳未満・23~70歳未満)は、38万円(住民税は33万円)
特定扶養親族(19~23歳未満)は、63万円(住民税は45万円)
老人扶養親族(70歳以上)は、58万円(住民税は45万円)
なお、2024年10月~ 高校生も児童手当の支給対象(無し ⇒ 月額1万円)になっていますので、控除が多少縮小されるようです。 (但し、トータルではお得になるそうです)
障害者控除
障害者本人もしくは重度の障害者を扶養している人が対象になります。
障害者本人が普通の障害者なら 27万円(26万円)、特別障害者なら 40万円(30万円)同居の扶養者は、普通の障害者なら控除無し、特別障害者なら75万円(53万円)になります。 一般的に、特別障害者とは、ほとんど働けない状態で該当するようです。
生命保険料控除
民間保険で自分で蓄えている人は税金を安くしてあげましょう、という制度です。
一般生命保険料控除・・・死亡保険、学資保険
介護医療保険料控除・・・医療保険、がん保険、就業不能保険、介護保険 個人年金保険料控除・・・個人年金保険
生命保険料控除額 = 一般の生命保険料分控除額(A) + 個人年金保険料分控除額(B) + 介護医療保険料分控除額(C)(合計限度額70,000円)
いずれも併用可能なので、バランスよく加入すると控除額が多くなります。 但し、本当に必要な保険にだけ加入するように注意が必要です。
地震保険料控除
地震保険に加入していれば、地震保険料が控除されます。所得税は上限5万円、住民税は支払った保険料の 1/2 で、上限額2.5万円になります。5年間分を一括払いで支払っている人が多いと思いますが、5年間で割った分が毎年控除の対象になります。大抵の保険会社から、毎年10月頃に保険料控除証明書が送付されてきますが、証明書記載の保険料は大抵5年で割った金額が書かれていると思います。
ひとり親控除・寡婦控除
非常に似ており、どちらか一方の控除しか使うことができません。ひとり親控除は、未婚のひとり親(シングルマザー、ファーザー)が対象、婚姻歴は問いません。寡婦控除は、夫と死別・離婚後に再婚していない人が該当します。なお、離婚の場合は、扶養親族がいることが条件です。
ひとり親控除の所得税の控除額は35万円(住民税は27万円)
寡婦控除は、27万円(26万円)
何れも、合計所得金額が500万円以下の場合に限ります。ひとり親の場合は扶養される側の総所得金額等が48万円以下です。
勤労学生控除
給与収入のみの場合、130万円以下の学生自身が使える控除ですが、もっとも使えない控除と言われています。基本的に学生は、年収103万円以下に抑えましょう。
雑損控除
災害・盗難等によって損失があった人が対象です。災害=雑損控除です。
①保険金を差し引いた損失額(総所得金額X10%)
②損失の金額のうち災害関連支出の金額-5万円
のうち、いずれかの高い方の金額が控除可能です。
(注)警察の盗難届、消防署のり災証明、災害関連支出の金額の領収書等が必要とのことです。
また、所得控除に言葉は似てますが、全く異なる税額控除があります。
所得控除は、1年間の収入から一定額を差し引く、という控除です。控除後の残額が課税所得となり、税率をかけて、課税額が算出されます。一方の税額控除は、その課税額からさらに一定額を差し引くものです。税額控除は、課税額から直接差し引く控除のため、節税効果が高いと言えます。
年末調整や確定申告の時期になったら、改めて最新の所得控除の種類を確認し、利用できる控除を見落とすことがないようにしましょう。